「キカクをカタチに!」その悩みをアイデアに変え、持続できる商売にしませんか?【取材記事】

デザイン・イベント企画立案で、小規模事業者の技術伝承や販路の拡大に尽力

 「北海道にはポテンシャルのある“父ちゃん母ちゃん商店”や企業がまだまだたくさんあります。しかし、人口減少と高齢化、札幌一極集中が進み、この先どうやって商売しようかと皆が悩んでいるし、いざ子どもが帰ってきて家業を継いでも、食べていけないのが現状です。地方の商売を持続できるようにしたいのです」と強く頷くのは、株式会社ハギヤ 代表の萩谷洋介さんです。

株式会社ハギヤは、「キカクをカタチに」をスローガンに、幅広いジャンルのお客さまの悩みに寄り添い、アイデアを具現化。特に、デザイン・イベント企画立案の側面から北海道の食や文化、農林畜水産物の技術伝承や販路の拡大に尽力しています。萩谷さんは、「通販にはどうも馴染めない」「販路開拓セミナーに行ってはみたが肌に合わない」と行き詰まる小規模事業者の救世主のような存在です。

「水産加工品の消費が落ちている」「飲食業の事業継承をしたい」「木材加工時に出る樹皮を活用したい」「北海道の味をレトルト商品にして売りたい」「東京からホームステイしている子どもたちが東京にいたときのように、チェーン店のドーナツやチキンが食べたいと言っている」……日々寄せられる相談は多岐に渡ります。萩谷さんは、その一つひとつにキカクを出していきます。驚くのは、そのキカクにオリジナリティがあり、わくわくするものであることです。
「キカクを出せる理由ですか?ずっと北海道にいるからでしょう。東京だったら経済が常にまわっているけれど北海道は違う。自分の手や頭でやる!という開拓者の精神のようなものを受け継いでいるのかな」と笑います。

架け橋となり、北海道でつくり大都市圏で売る循環を促す

 商売を持続できるようにするために萩谷さんが必要だと考えるのは、「北海道と大都市圏の商圏の架け橋をつくる」こと。そうしてカタチにしたのが「ショッピングセンターでの北海道物産展」です。

はじまりは2009年、北海道商工会連合会からエキスパートバンク事業として「新規事業などの相談に訪れる事業者を支援して欲しい」と声がかかったことでした。
「北海道でつくることはできても売れない。ならば、売るのは東京や大阪でしよう」とキカクはできたものの、当時は大都市圏にツテはなく、萩谷さんは人伝にいろいろな人と会うことに。そうして、日本ショッピングセンター協会「単館SC研究会」の人と知り合いました。
「百貨店での北海道物産展はどこも大盛況。一方、ショッピングセンターでの開催事例はなく、研究会の方々は関心を寄せていました。タイミングが合致し、開催へ進みはじめました」
そして、「出店費用を抑える」「売り切れ御免も魅力有り」「お客さんに自社をアピールしてOK」など出店側にとって好条件に!その結果、これまで物産展に出店できなかった小規模事業者も出店できるようになり、たくさんの喜びにつながりました。さらに、物産展で北海道の魅力や懐かしさを感じた人がお取り寄せしてくれるようにもなり、地元と大都市圏を持続的な商圏にすることに成功しています。

萩谷さんの地元を思う人柄が信頼につながり、その後は、大都市圏のショッピングセンターの年間の販促企画や広告等の仕事も任されるようになりました。萩谷さんのキカクは「北海道のホタテ釣り体験」「ほっかいどうの地元飯」など様々な分野に広がっています。

モチベーションを持って仕事に挑む人と人のハブになりたい

 あらゆるキカクをカタチにするベースには、萩谷さんの「いろいろ人と常に連絡を取って、直接会いに行ってつながる」という仕事スタイルがあります。
「テレビや新聞で『これは!』という人を見つけたら、次の日には会いに行きます」と笑います。
そうした中、「これからはテレワークが日常になる時代。それで若者たちは大丈夫だろうか……?副業が可能な社会になっているし、彼らにも楽しい働き方をして欲しいと思うようになりました」と明かします。

そこで、萩谷さんの長男は東京、次男は静岡を拠点に関東、関西圏で営業・実務活動をしながら、学生時代の友人にお声がけ。萩谷さんと若者とでチームをつくり、仕事をする機会をつくっています。
「東京で駅前のクリスマス装飾の仕事を請け負ったときは、若者たちとレイアウトや演出を考えるところから一緒にやりました。皆、意欲的だけど、活動する中で自分にできることの限界を知るんです。じゃあ、こういう人の力が欲しいねと、プロフェッショナルなチームができあがっていきます。プロの仕事に触れ、自分の本当にやりたい仕事や、自分に向いている仕事を見つけられる若者は少なくありません。若者たちが自由にやりたいことに挑戦するためのハブのような役割を果たせる会社になりたいです。そのためには、年配の方にも仲間になってほしいです。定年退職をされて貴重なスキルやパイプを持て余しているのはもったいない!地元の小規模事業者のためぜひ力を貸してください」

大雪山の雄大な自然を背に、萩谷さんは今日もキカクをカタチにしていきます。

(取材年月:2020年10月)

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